先日、Bag yardが主催する栃木レザー工場見学会に参加してきました。
工場見学のレポートは3年前に見学した際に当ブログに残しているので割愛します。
皮から革への製造工程が知りたい方はこちらからどうぞ。
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栃木レザー工場見学レポート
え?じゃあ、工場見学は2回目なの?
はい、そうなんです。見学ツアーに参加していた人にも言われました(笑)
今回の見学の目的は
3年前と今回、何が違っていたか・・・
革は変わっていなかったです。ダジャレじゃないですよ真面目に書いてます。
栃木レザーは今も変わらず10~20の工程を経て手間暇をかけて丹念に鞣されていました。
変わったとしたら、私自身の革に対する情熱が増したこと位でしょうか。
あれから3年間、栃木レザーを主に取り扱い、様々なカタチにしてお客様に届けてきました。
ただ、その間、私の記憶では革材料の値上げが2回ほどありました。
革問屋側は原材料・物流コストの高騰の為と説明をしてきますが、
最終的にはその値上げは作った製品に乗せざるおえないんですね。
でも、出来れば値上げはしたくない。どうしよう・・・
物を作って、売る立場になってみて初めて味わった葛藤。
なので今回、栃木レザーさんに聞きたかったのはコストに関すること。
それさえ聞き出せれば今回の目的は達成だ!っていう気持ちで参加しました。
原価は聞いてませんよ。個人では直接買えませんから。
栃木レザー担当者が話してくれた値上げをする理由
私は終了後の質問の時間で担当者さんに、この用意してきた質問を投げかけました。
さすがに少したじろいでいましたが、本当に親切に包み隠さずお話してくれました。
値上げの一番の理由。
それは原皮(材料)そのものが値上がりしている為。
なぜ値上がりしているか、近年の牛肉の消費量に関係していました。
そもそも牛革とは食肉用の牛の皮を剝いで残った副産物。
つまり欧米においてもお肉を食べる人口(回数)が減って来ているとのこと。
食肉として加工されないと言う事は、皮も残りません。
また、栃木レザー(株)が求めているのは厚くて、堅牢な革。
ステアハイドやブルハイド(生後2年~3年以上の成牛の皮)が理想なんでしょうね。
こういった皮が、最近では仕入れられる数が少なくなってきたとも話していました。
なぜかと言うと、3年近く育て上げた牛は肉もしっかりと育ち、固くて噛みごたえのあるお肉になります。
しかし、最近では固い肉よりも柔らかい肉を好んで食べる人たちが増えて来ているのも原因の1つと言われてました。
柔らかいお肉として加工されてしまう牛さん達は若い年齢(20ヶ月未満?)であるがゆえに、比較的薄い原皮になってしまうのです。
革の鞣しに興味を持った方なら一度は考えませんでしたか?
どうして日本の革は国産の牛を使わないの??
理由は圧倒的に流通量が足らないのと、アメリカみたいな広大な土地で放牧されていないので、同じ月齢でも皮のしまりが違うため、栃木レザーの求めるそれとは違っているのでしょうね。
それでも最近では地生(ジナマ※国産の牛)の鞣しにも取り組んでいるようです。
革をなめす作業は本当に非効率な作業かも知れません。でもこの手間暇と情熱をささげるからこそ世界に誇る日本の革・栃木レザーが生まれたのです。
栃木レザー㈱も取引先に対しては断腸の思いで値上げを飲んでもらっている、そんな様子が担当者さんから伺えました。
きっと今後、もっと食肉の生産量が減少していけば、必然的に皮の流通量も減りますから、革の価値が上がって行く事も考えられます。
作り手として何が出来るのか、それを考えさせてくれた工場見学会でした。
担当者さんが言ってました。
「皆さん!牛肉をもっともっと食べて下さい!」
その後は、昼食場所(洋食屋)へ移動して、参加者みんなでビーフハンバーグランチを食べました。
おしまい。
最後は一緒に来てくれた後輩が撮影してくれた工場Photoをどうぞ。